止まない雨はない。
どんなに長いトンネルにも出口はきっとある。
どんなに苦しくても、あなたの声はきっと誰かに届くから・・・
本当にそうでしょうか。
例えば、深い海の底。宇宙空間。
海の中では声も出せないし、光も届かない。
真っ暗闇です。
宇宙もそう。
宇宙空間は真空。
真空ではどんなに大きく叫んでも、声は届かない。
実は僕は小学生の時、ちょっぴりだけいじめられたことがあります。
「おはよう。」と挨拶しても「 。」
昨日は帰ってきていた返事が返ってこない。
はじめは悪ふざけ。何かのゲームだと思いました。
でも、違った。
期間で言えば、2週間程度でした。
僕は辛くなって先生に助けを求めました。
僕の場合は先生が味方になってくれたおかげで少しずつみんなと仲直りができました。本当に良かった。
僕の場合は、いじめはたったの2週間でした。
それでも毎日学校に行かないといけないと思うと、玄関の扉を開けるのが嫌でした。
「行きたくない。」と何度親に言おうとしたか…
でも、学校に行けば「おはよう。」って返事が返ってくるんじゃないのかな?と思って行ってました。
でも…
「おはよう。」
「 。」
やっぱり返事はなかったです。
たった2週間のこと。
たった2週間の記憶なのに、30歳になった今でも覚えています。
当時の僕は海の底、宇宙空間。そこで声にならない声を叫んでいたんだと思います・・・
「明日学校にいったら『おはよう。』が返ってきますように。」
『かがみの孤城』を読了後、そんな記憶が蘇ってきて、気がついたら頬に涙が流れてました。
でも!僕がそうだったように。
例え自分の置かれた場所が海の底でも、宇宙空間だとしても。
きっと、届く想いはある。
きっと、声が届く人がいる。
『おはよう。』と言いあえる友達はきっといます。
『かがみの孤城』あらすじ
学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――
なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。Amazon かがみの孤城紹介文
物語はこころちゃんが中学校に入学したところから始まります。
中学生活に希望を持っていたこころちゃん。
新しい制服。新しい教室。新しい友達…不安はあるけどうまくいくと思ってた。
でも、真田さんという女の子ひとりの存在がこころちゃんの居場所を奪ってしまった。
「お母さん。お腹がいたい。」
こころちゃんは学校に行けなくなります。そして、お母さんにも、お父さんにも言えない心の傷を抱え込んでしまいます。
そんなある日、部屋の鏡が突然光出します。
光輝くかがみに手を伸ばすこころちゃん。かがみの先にあった光景とは?
「孤城だ。」
かがみの中のお城には狼の顔をした少女がいました。狼の顔をした少女は、こころちゃんに問いかけます。
「今から来年の3月30日までこの城を解放する。好きに使っていい。何をするのも自由。」
さらに次のようにいいました。
「この城には願いが一つだけ叶う鍵と願いの部屋が隠されている。探すもよし、探さなくてもよし。ただし、17時にはかがみの城の扉が閉まるから時間だけは守りなさい。」と。
物語はこころちゃんと同じ「雪科第5中学校」に通えなくなった7人が、かがみの中のお城に招かれ、歩み寄り、共感し合い、励まし合い、心の傷を癒し、心を育みながら進んでいきます。
少しずつ打ち解けていく7人と徐々に近づいてくるお別れの3月30日。果たして、かがみの孤城の中に隠された鍵と秘密の部屋を探し出し、こころちゃんたちは願いを叶えることができるのか?
そして、なぜ31日ではなく30日なのか?
少しずつ心の傷と闘って前に進んでいく彼、彼女たちはどうなるのか?
『かがみの孤城』感想

※ネタバレ含みます。
「めちゃくちゃよかったぁぁーーーー泣」が感想です。
個人的にはみんなが打ち解けてきたときに、マサムネが「3学期の始めの日だけでいいから学校に一緒に行ってくれないか?」からの流れが好きでした。
こころちゃんの「わたしは学校に行くんじゃない。友達に会いにいくんだ」という物語が進むにつれて、「心が育まれていっているなぁー」が感じられるポイントで思わず泣きそうになりました。
自分の学生時代を思い出すと勉強したことなんてほとんど覚えていなくて(勉強嫌いでした笑)友達とふざけ合った記憶しかないからです。だからこそ、友達に会いに行くという表現はすごい共感できました。
また読了後は冒頭にも書きましたが、この世界でたったひとりってことはない、という想いに包まれたような感覚になった。
今がたとえどんな環境であったとしても、行動し続ける限り出会いのきっかけがあり辛い状況から抜け出せると僕は個人的に思っています。
「それは日本にいて恵まれた環境にいるからじゃないの?」や「それは自分が助かった経験があるからじゃないの?」と思われるかもしれません。
でも、そうでしょうか?
過去の偉人たちを振り返るともっと過酷な状況でも行動を起こしたからこそ活路を見つけた人ばかりじゃないですか?
『かがみの孤城』からも、自分の気持ちと向き合って行動し続ける大切さを改めて学んだ気もします。
また、『かがみの孤城』を読んで「学校」という場所は、やっぱり歪な環境だなぁと感じました。
朝チャイムが鳴る前に登校し、先生が教壇に立ち授業を始める。
一見すると普通に見えますよね?
でも、それってあたり前なんでしょうか?
少し話がズレますが…そこで「教育」とはなんなんだろうか?について考えてみました。
これは『冒険の書』からの引用なのですが
「教育」とは、学び続けるための習慣である。
『冒険の書』
そこで、僕なりに「教育」についての解釈を考えてみました。
結論、『ワクワクすることに夢中になる。』
これが僕にとっての「教育」の本当の姿だと思います。
話を戻すと、学校では半強制的に学びたくないものも学びましたよね?教養がだいじ。いい大学やいい会社に入るために学びは選択肢を広げてくれるから点数を取るために勉強しませんでしたか?
これこそが学校でのいじめとか不可思議な平等を作り出している原因じゃないかなぁ〜と、読みながら考えてました。
学校がもっと自由に学べる。夢中になれることを見つける。テストの点を競い合うのではなく、みんながそれぞれを受け止め合い助け合えるような場所であったら「こころちゃんたちもいじめに合わなかったかもしれないのになぁ」と、なんか学校や教育の仕組みが変わればいいなぁ、と感じさせられる作品でもありました。
物語の感想に話を戻しますね。
物語のクライマックス、理音と実音の話も印象的でした。
(狼の顔の少女の正体はリオンのお姉ちゃん実音です。)
31日がない理由がわかった時、悲しくもなりましたが実音のおかげでみんなが出会うことができたと思うと嬉しくもあり、悲しい的な。
実音の願いが生んだ空想の世界、実音が体験できなかった学生生活への憧れを思うと悲しくなりました。
でも、もう一度リオンとも話せる機会、みんなと話したり思い出を共有した時間ができたことで、少しでも実音も学生生活気分を味わえたてたらいいなぁと感じた。
そして最後、「善処する」からのリオンとこころちゃんが最後に出会うシーン。書籍の始めのこころちゃんの願いの文章を思い出し、読了後には明るい気持ちになり読み終えられたポイントも『かがみの孤城』を好きになった理由の一つです。
『かがみの孤城』まとめ

『かがみの孤城』の感想をつらつらと書きました。
さすが本屋大賞受賞作品でもあり、映画化された作品。
本が苦手な人でも読める作品だと思うのでぜひ機会があれば読んでみてください!
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
それでは、また次回!